放射線挙動解析計算コードPHITSを用いた実習
(原子力基礎工学研究センター 環境・放射線科学ディビジョン 放射線挙動解析研究グループ)
小山 大地さん(明石工業高等専門学校 機械・電子システム工学専攻)
田村 健太郎さん(熊本大学大学院 保健学教育部)

小山 大地さん
明石工業高等専門学校 機械・電子システム工学専攻
◇志望理由と実習内容について
学校で研究を進めているレーザー核融合炉KOYO-Fastの液体金属コイルシステムの開発において、現在液体金属コイルを実際に設置する大きさから縮小したモデルを液体金属ガリンスタンで、コイル構造材をセラミックのアルミナで作成し、実際に液体金属コイルでも磁場を生成できることは確認できていました。しかし、この実験だけでは実際に運用する際にアルファ粒子と中性子の照射を受けた際に生じる液体金属や構造材の核反応による発熱や核反応生成物などによる影響は測定できません。そこで核反応等をシミュレーションできるPHITSの使い方などを習得し、使いこなせるようになることで発熱や核反応生成物などによる影響を明らかにして自らの研究を進めようと考え、PHITSの実習が開催される貴機構の実習に参加いたしました。
本実習につきましては、この実習が初めてPHITSを触る初めての機会だったのですが、丁寧な指導を受けることができたためPHITSを使いこなせるようになり、目標を達成することができました。
◇困難に直面した時にどう対応したか
私の行いたかったシミュレーションをするためにはいくつかの困難な課題がありました。しかし、同実習に参加していた実習生と議論したり、研究室の受入担当の方と議論したりする中で解決に至ることができました。議論に付き合ってくださった実習生の方々、丁寧な指導をしてくださった受入部署の方々に感謝申し上げます。
◇思い出に残ったこと
担当の研究室の方々の丁寧な御指導や議論が思い出に残っています。また、実習に参加した皆さんと食事等で色々な話ができたことが楽しく、印象深いです。自分の学校以外で、しかも専攻が違う学生と話したり,議論したりできたこの2週間は研究のみならず、今後の学生生活の様々な面に役立つと確信しています。
◇特にお伝えしたいことがあれば御自由にどうぞ
また来年同様の実習がありましたら是非とも参加させていただきたく思っています!

田村 健太郎さん
熊本大学大学院 保健学教育部
◇志望理由と実習内容について
昨年からPHITSを用いてモンテカルロ計算を行っており、今後もPHITSを使用して研究を進める予定があることからPHITSに関するスキルアップを目指し、今回の夏期休暇実習に参加しました。私の研究は前立腺がんの永久刺入療法に用いられる125I密封小線源の線量計算を行うことです。そのためPHITS上でも治療に必要な小線源の数である60-80本もの数を体系に組み込まなければなりませんでした。その際インプットファイルに小線源の情報を入力する時点で入力ミスをしてしまうのが問題となっていました。そこで、今回の実習では、スクリプトを使用したインプットファイルの作成及びPHITSの実行を学ぶことによって入力によるミスを無くし、計算の効率を上げることを目的としました。まず、小線源の座標や回転角度を記したテキストデータをスクリプトで読み込み、PHITSのインプットファイルの形式に書き込ませます。スクリプトで数十本の小線源の情報を読み込み、自動的にインプットファイルを生成できるようになったので、インプットファイルの作成にかかる時間を大幅に短縮することが可能になりました。次に、作成したインプットファイルをスクリプトによって自動的にPHITSを実行できるようにしました。今までは小線源の数の分だけ一つずつ実行しなければなりませんでしたが、スクリプトによって連続で小線源の数だけ実行できるようになり、さらに計算結果のアウトファイルを特定のフォルダにまとめることもできるようになりました。これで、データの解析も行いやすくなったと思います。今回の実習をまとめると、入力に必要な多くの情報及び多くの計算結果をスクリプトによって簡潔にミス無く処理できるようになりました。今後もPHITSをより便利に使いこなせるようにしていき、研究の成果に結びつくようにしていきたいと考えています。
◇困難に直面した時にどう対応したか
今回の実習では、作業に行き詰まり考えている時間は無駄であるという観点からすぐ質問するようにと指導担当の方から指示を受けました。そのため、質問がしやすい環境で実習が行えたと思います。また、一つずつ課題をクリアしていく形で実習が進んだので、特別に困難に直面するようなことはありませんでした。
◇思い出に残ったこと
2週間集中して一つの物事だけをやることはなかなか無いので貴重な体験ができたと思います。同じ部署にいた夏期休暇実習生と交流することで多くの刺激を受けました。学内ではあまり話すことの無い分野の方との交流もあり楽しかったです。
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